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クルマ・技術
マツダ、産学官の連携で、自動車内装部品用に高強度、高耐熱性を持つバイオプラスチックを開発
マツダ株式会社は、広島県内の産学官共同開発を通じて、自動車内装部品に使用できる外観品質や強度や耐熱性を持ち、射出成形の可能な、植物原料のプラスチック(バイオプラスチック)の開発に自動車業界で初めて成功した。バイオプラスチックは植物を原料としたカーボンニュートラルな材料(注1)であり、化石資源の使用を減らせるためCO2の排出を削減できる。
新開発のバイオプラスチックの特長は、現在、電化製品等に使われているバイオプラスチックと比べ強度(耐衝撃性)が約3倍、耐熱性が25%も向上したことである。また、原料の製造過程で植物に含まれているでんぷんと糖質の発酵を利用し、代表的な石油系プラスチックのポリプロピレンと比べ30%程度使用するエネルギーを減らせると共に、剛性が高いため部品を薄く成形でき原料を節約できる。さらに、自動車部品の生産に多用されている射出成形機で製造できるため、量産性にも優れている。マツダは、数年後の商品への採用を目指し、研究開発を続ける。
新開発のバイオプラスチックの原料は、とうもろこし88%、石油12%である。とうもろこしから製造されるポリ乳酸を主原料とし、西川ゴム工業株式会社、広島大学、近畿大学が中心に新たに開発した結晶化促進核剤(注2)や相容化剤(注3)の配合によって、自動車用途で最大の課題であった強度と耐熱性を飛躍的に高めた。
新開発バイオプラスチックのプロジェクトメンバーは次の通り。
マツダの金井誠太専務執行役員は「広島地域では、マツダ、ジー・ピー・ダイキョー株式会社などを中心に、自動車用樹脂製モジュール部品の分野で、世界的にも評価された技術基盤が蓄積されている。加えて、酒造りが盛んで、昔からバイオ技術(発酵)の蓄積があり、広島大学、西川ゴム工業株式会社、広島県立西部工業技術センターを中心として、微生物で分解する、生分解性樹脂の実用化を目指して研究してきた経緯があった。特に、乳酸共重合体(注4)の開発では国際共同研究(注5)を行ってきた実績もある。そのため、地域で取り組むことで高い研究成果を得られる土壌があった。これからも地域と共に、数年後の商品化を目標に、バイオプラスチックの開発を進めていきたい」と述べた。
マツダは、5月24日(水)~26日(金)の3日間、パシフィコ横浜で開催される「人とくるまのテクノロジー展」(主催:社団法人自動車技術会)のマツダブースで、新開発のバイオプラスチックを使用した自動車内装部品を展示する。
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